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【精霊流し】街に爆竹の音が鳴り響く夜〈長崎〉

訪問日:2012年8月
満足度:ico_grade6_4.gif 4.0

DSC01320.jpg

長崎で行われる「精霊流し(しょうろうながし)」というイベントを
私が初めて知ったのは、8月上旬に受けた一通の電話でした。

見たことのない市外局番からの電話だったので不思議に思ったら、
1週間後に宿泊予定の、長崎のホテルからだったんです。
「楽天トラベル経由で予約したけれど、何か手続きに不具合があったのかな?」
と思ったら違いました。

ホテル「8月15日にご宿泊予定ですよね。お車でいらっしゃいますか?」
私「はい、そのつもりですが」
ホテル「この日長崎市内では精霊流しがあるため、夕方から大規模な交通規制が行われます。お車でいらっしゃるようでしたら、早めにおいでいただいたほうが宜しいかと存じます」


――精霊流し。


あとで調べて分かったのですが、
これは毎年8月15日に長崎で行われる、死者を追悼するイベントでした。

初盆を迎えた故人の家族らが、盆提灯や造花などで飾られた精霊船(しょうろうぶね)と呼ばれる船に故人の霊を乗せて、「流し場」と呼ばれる終着点まで運ぶ。毎年8月15日の夕刻から開催され、爆竹の破裂音・鉦の音・掛け声が交錯する喧騒の中で行われる。精霊船は山車(だし)を連想させる華美なものであり、見物客が集まる。「祭り」と誤解されることもあるが、あくまでも故人を追悼する仏教の行事である。
(Wikipediaより)


そんな日に長崎市内にいられることを幸運に思いながら、
精霊流しの当日を迎えたのでした。


精霊流し

長崎に到着して驚いたのは、爆竹の音があちらこちらから聞こえることでした。

DSC01317.jpg

白い法被を着た方たちが、精霊船を曳きながら爆竹を鳴らしていくんです。

彼らは歩きながら、道路にひょいっと点火した爆竹を投げ捨てていました。
その動作があまりに自然で、道路に花の種でもまいているのかなと錯覚するぐらい。
一拍置いた後、バチバチッという爆音が辺りに響き渡り、獰猛な煙が立ちこめます。
初めて目にする光景に、目を丸くするばかりでした。

DSC01319.jpgこんなふうに、
道路には爆竹のごみがいっぱい。

攻撃的な音が鳴るたびに心臓をどきどき言わせながら、長崎の街を歩きました。
一生分の爆竹を聞いた気がします
コンビニのガラス窓には、「耳せんあります」と大きく貼り紙がしてありました。


稲佐山の夜景

精霊流しは夜遅くまで続くので、少し街を離れて、
日本三大夜景の一つでもある稲佐山の夜景を見に行くことにしました。

DSC01321.jpg

ロープウェイで山頂まで登ります。
ゴンドラの中は冷房が効いていなくて暑かった思い出。
乗り場では無料のうちわが置いてありました。
浴衣姿の女性が同乗して、見どころなどをアナウンスしてくれました。

山頂からはこんな感じで長崎の夜景を一望できます。

DSC01338.jpg

私のコンデジでは夜景がきれいに撮れないので、美しさが伝わらないのが残念です。
オレンジ色のあたたかい光の洪水が、真っ暗な海に流れていくようでした。

いつもは夜景って、眼下に広がる音のない世界を眺めるものですよね。
でもこの日は精霊流しが行われていたので、
かすかな爆竹の音が稲佐山まで響いていました
下界のざわめきに耳を澄ませながら、絵はがきのような景色に見入っていました。


お盆休みの稲佐山はすごく混んでいて、柵の前で見ていた人が場所を離れたとたん
その空きスペースに人が殺到する感じでした。
下りのロープウェイも満員で、一本見送りました。


夜の精霊流し

稲佐山から下りてくると、精霊流しも華やかさを増していました。

DSC01370.jpg

美しいあかりを点した精霊船で、爆竹の音とともに華やかに死者を送る。
残された人たちの強さと、前向きなエネルギーを感じるイベントでした。
長崎の人たちはたくましいな。粋な見送り方だと思いました。

その日は夜遅くまで、爆竹の音が鳴り響いていました。

* * *

翌朝ホテルを出て街の様子を見てみると、
道路に大量にあったはずの爆竹のごみがきれいに片づけられていました

昨日の喧騒は夢だったのかな、って思うくらい街は平然とした顔をしていて、
スーツ姿のビジネスマンが忙しそうに道を歩いていました。

精霊流しで出たごみは、市やボランティアの人が完璧に片づけているそうです。
昨日の夜、通行止めになった道路は爆竹の箱だらけだったのに、
翌朝にはすっかり元通りに。

長崎、やるなあ。



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プロフィール

lily
1978年生まれ。
大分県出身、神奈川県在住。
旅行好き。旅先で出合った景色を写真に撮っています。
2014年9月に男児を出産。
その後は子育て中心の生活です。

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(2013年2月~)


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